金色を手作りしたい人に向けて、基本の混色比から応用テクニック、デジタル表現、そして長期保存やトラブル解決までまとめました。
具体例とコツをふんだんに盛り込んでいます。
金色を作るための基本知識
金色の作り方:基本の知識
金色は 黄色を主役に、わずかな赤と青を足す ことで生まれます。三原色で作る場合は イエロー : マゼンタ : シアン = 8 : 1 : 0.1 が基準。まずはこの比率で小さく試し塗りを行い、乾燥後の色味を確認してから微調整してみてください。乾燥前後で見え方が変わるので、工程ごとに写真を撮って比較するのもおすすめです。
豆知識
17 世紀のヨーロッパでは、黄土にサフランを煮出した染料を混ぜて「貧者の金」と呼ばれる顔料が作られていました。現代でも黄土系顔料はアンティークゴールドのベースに最適です。
必要な顔料とその比率
仕上がり | 主顔料 | 推奨比率 | コツ |
---|---|---|---|
明るいゴールド | カドミウムイエロー+レモンイエロー | 7 : 1 | 白を 5% 入れてクリーミーにすると発色が安定します |
アンティーク調 | カドミウムイエロー+バーミリオン+ウルトラマリン | 8 : 1 : 0.2 | 乾いた後にバーントアンバーを薄く重ねると深みが増します |
マットゴールド | カドミウムイエロー+バーミリオン+ウルトラマリン | 8 : 1 : 0.1 | マットメディウムを 15% 混ぜてツヤを抑えます |
シャンパンゴールド | レモンイエロー+シルバー | 2 : 1 | シルバー比率を下げると柔らかい輝きに |
ブロンズ寄りゴールド | カドミウムイエロー+バーントシェンナ+パープル | 6 : 2 : 0.3 | 紫はごく少量から追加し、ブロンズ感を微調整 |
金色を調整するための明度と彩度
- 明度を上げたい ときは白ではなくレモンイエローを少しずつ加えると濁りにくくなります。白を使う場合は 3% 以内に抑え、粉っぽさが出ないようグロスメディウムでツヤを補うと効果的です。
- 彩度を落としたい ときは補色の紫をほんのわずか入れて調整します。入れすぎは茶色くなる原因なので注意しましょう。
- 金属感が足りない と感じたら、パールメディウムを少量加えるか、最終層でパールホワイトを軽くドライブラシすると輝きが加わります。
- 黄変が気になる 場合は顔料に耐光性の高い PY150(ニッケルアゾイエロー)系を混ぜると退色が抑えられます。
金色を作るための具体的な方法
アクリル絵の具での金色の作り方
- 下地作り: イエローオーカーをやや薄めに塗り、表面をしっかり乾燥させます。下地にテクスチャペーストを塗って凹凸を作ると、仕上がりの光の反射が豊かになります。
- 第一層: 基本比率で調合した金色をやや厚めに塗布。筆ムラを避けるため、平筆で一定方向へ引くと綺麗に仕上がります。
- グレーズ層: 水またはグレーズメディウムで 10〜15% 薄めた金色を 2〜3 回重ね塗り。層ごとにドライヤーでしっかり乾かすとにじみを防げます。
- ハイライト: ドライブラシで純白またはレモンイエローを載せ、立体感を強調します。光源を意識して角度をつけるとリアルさが増します。
- 保護仕上げ: グロスバーニッシュで光沢仕上げ、マットバーニッシュで落ち着いた質感仕上げと使い分けましょう。
失敗対策メモ
塗膜がまだ柔らかい段階で重ねるとクラック(ひび割れ)が起きやすくなります。夏場は特に乾燥時間を長く取りましょう。
水彩での金色の表現方法
- 基本配合: パーマネントイエローライト 6、バーントシェンナ 2、オレンジ 1 を混色。透明感を活かしたいときは水分をやや減らし、顔料を濃いめに取りましょう。
- 影色: バーントアンバー+ウルトラマリンを 1 : 1 で混ぜ、薄く重ねると自然な陰影になります。透明層を何度も重ねると深みが増します。
- 輝き強化: 乾燥後にパールホワイトや偏光ラメを極薄で重ね、ブラシで水滴を飛ばしてスパッタリングすると、宝石のような反射が得られます。
- にじみ防止: 水彩用マスキング液でハイライト部分を守り、仕上げに剥がすとクリアな光が残せます。
ポスターカラーを使った金色の作り方
- 銀のポスターカラー 1 と黄色 2 を混ぜると簡単にメタリック感が得られます。もっと赤みを出したい場合はバーミリオンを筆先で追加し、ムラにならないようよく混ぜましょう。
- ニススプレーは 30 cm 以上離して均一に吹くとムラになりません。耐候性を上げたいときは二度吹きがおすすめです。
- ポスターカラーは乾燥後に水で再溶解するため、屋外作品では上からアクリルメディウムでコーティングすると安心です。
クーピーでの金色作り方
- 黄色クーピーで下地をしっかり塗り込み、紙の目を埋めます。
- オレンジでやや大きめの円運動を描きながら重ね、温かみを追加。
- 茶色で影を入れる際は筆圧を強めず、短いストロークで重ねていくと滑らかなグラデーションになります。
- 練り消しで光が当たる部分を優しく抜き、ハイライトを作ると金属らしさがアップします。
金色の絵の具の魅力を知ろう
金色の使い道とその魅力
金色は「高級感」「祝祭感」「神秘性」を一色で演出できる便利な色です。イラスト、クラフト、DIY、インテリア雑貨、アクセサリー作り、カリグラフィ、ネイルアートなど幅広い分野で活躍します。特に光を取り込みやすい場所に配置すると、視線を引き寄せるアクセントになります。
様々な金色の表現方法
- グラデーション で黄緑→金→オレンジへつなぐと、夕焼けや光輪がドラマチックに描けます。
- 背景をネイビーやチャコールにすると金色が際立ちます。アクセントとして白のドットを散らすと星空のような演出も可能です。
- ツヤあり/マットを使い分けることで質感の幅を広げられます。ツヤ部分を 70%、マット部分を 30% に分けるとバランス良く仕上がります。
- スタンピング や 箔押し を併用すると、手軽に豪華な効果が得られます。
金色の絵の具の種類
種類 | 特徴 | 例に適した用途 |
メタリックアクリル | 粒子が大きく強い光沢 | フィギュア塗装、看板、キャンバスアート |
パール水彩 | ソフトな輝きと透け感 | イラスト、レタリング、絵本原画 |
ガッシュ金 | 不透明でカバー力が高い | ポスター、カリグラフィ、舞台装飾 |
インク(金インク) | 速乾性・耐水性 | ペン画、コミック、カリグラフィペン |
顔彩(金) | 日本画特有の深い光沢 | 和風イラスト、書道作品 |
100均で手に入る金色の絵の具
ダイソーの金色の絵の具レビュー
ダイソーのメタリックアクリル(ゴールド)は伸びが良く、重ね塗りすると深みが出ます。オレンジ味が強めなので、赤みを控えたい場合はレモンイエローを少量混ぜるとトーンが整います。乾燥後にクリアトップコートを吹くと輝きが長持ちし、筆ムラも目立ちにくくなります。
100均アクリル絵の具の活用法
- 下塗りに黄色+赤を敷き、その上からメタリックゴールドを重ねるとワンランク上の輝きになります。
- シルバーと 1 : 1 で混ぜればシャンパンゴールド風にも。
- 乾燥前にクラックルメディウムを部分的に塗ると、ヴィンテージ加工が簡単に作れます。
コストパフォーマンスの優れた金色の選び方
- 顔料表示に PY(イエロー)と PR(レッド)が入った製品は発色が安定しています。
- 沈殿しにくく筆洗いが楽なアクリル系は初心者にも扱いやすいです。
- 大面積塗装には 100 ml 以上の大容量チューブを選ぶとコスパが向上。
色合いを長持ちさせるためのテクニック
混色効果による色合いの調整
- 少量ずつ混ぜて色を決めたら、小さなテストピースを作成。
- 自然光・蛍光灯・LED の三種類の光源で色味を確認。
- 乾燥後にトップニスを塗り、1 週間ほど色ブレを観察すると安心です。
金色の光沢と質感の演出法
- グロスメディウム 10% で強い光沢をプラスし、鏡面反射のようなツヤを演出。
- マットメディウム 15% でシックな艶消しにし、マットブラックと組み合わせると重厚感が際立ちます。
- 乾燥後にクリアバーニッシュを二層コーティングすると耐水・耐摩耗性が向上します。
効果的な補色の使い方
- 紫を 0.5% ずつ加えるとアンティークゴールドやブロンズ調になり、深みがある表現ができます。入れすぎるとくすむので少しずつ試しましょう。
- ネイビーブルーを影色に混ぜると冷たい光が加わり、メカやジュエリー系イラストにも応用できます。
デジタルでの金色表現の方法
デジタル絵の具を使った金色作り
- ベースカラー
カラーピッカーで #D4AF37(R:212/G:175/B:55)を設定し、まずは画面全体に均一に敷きます。 - グラデーションマップ
ハイライトからシャドウまで段階的に色を割り当てると、立体感と金属質感がアップします。- 明るめ:#FFF9E4
- 中間:#D4AF37
- 暗め:#7A4E16
- レイヤーブレンド
ベースレイヤーの上に「オーバーレイ」や「加算(発光)」レイヤーを追加し、金色系を薄く重ねます。複数回重ねるほど深みが増します。 - テクスチャ
微細なノイズや金属の凹凸を表現したテクスチャを、オーバーレイで 5〜10% の不透明度で重ねるとリアルさが向上します。
デジタルでの金色の明度と彩度調整
- HSL 調整レイヤー
- 明度(Lightness)を +5〜+10% 上げて輝きを強調
- 彩度(Saturation)は ±3% 程度で微調整し、くすまず落ち着いた色味に
- 色相(Hue)シフト
±2〜+4° 色相をずらすと、黄みやオレンジ寄りなどニュアンス調整が可能です。 - マスクで局所補正
ハイライトだけを選択し、レベル補正やカーブで明度を上げると、金属特有のギラつきを演出できます。
反射や輝きを加えるためのテクニック
- 加算発光レイヤー
新規レイヤーを「加算(発光)」モードに設定し、白または淡い黄色でエッジにリムライトを入れます。 - 内側光彩エフェクト
レイヤースタイルの「光彩(内側)」を使い、サイズ:10〜20px、範囲:50%、不透明度:30〜40% で柔らかな光をにじませます。 - エンボス+ハイパス
- エンボス:角度 135°、高さ 2px、量 20%
- ハイパス:半径 1.5px、不透明度 50%
これにより凹凸の陰影とシャープさが加わります。
- グリッター散布
自作や市販の小粒ブラシで白や薄い黄色の点を散らし、スクリーンモードで少量ずつ加えるとキラキラ感が生まれます。
以上の手順で、デジタルでもリアルな金属感とリッチな輝きを再現できます。光源や背景によって最適な設定が異なるため、いくつかバリエーションを作って比較してみてください。